オンライン相談サービスの開発費用は?無料相談サイトを10年以上運営して分かった予算の考え方

「オンライン相談サービスを作りたいけれど、いくらかかるんだろう。」
相談のオンライン化を考えるとき、気になるのが費用です。
「相談システム 開発 費用」で検索しても、製品ごとに料金体系が異なり、具体的な予算を比較しにくい情報が多く見られます。とくに、支援団体が小さく始める場合の現実的な費用例は、あまり多くありません。
私たちつくりばは、無料相談サイト「ココトモ」を10年以上、自分たちで開発・運営してきました。これまでに寄せられた相談は累計15万件以上、登録しているボランティア相談員は2,000名以上になります。
その経験から、相談サービスの費用がどう決まるのかを、私たち自身の料金目安も包み隠さずお見せしながら、できるだけ具体的にお伝えします。少しでも参考になれば幸いです。
※オンライン相談サービスをつくるときの方針は別記事「相談サービスの作り方」、必要な機能は「チャット相談システムに必要な機能」でそれぞれ解説しています。費用は、この方針と機能の範囲によって決まります。
つくりばでの開発費用の目安
まずは、いちばん知りたい「いくらか」からお見せします。これは、つくりばが実際に相談サービスの開発・改善でご案内している料金の目安です。
| 開発・支援の内容 | 料金目安 |
|---|---|
| 新規相談サービス(サイト)の開発 | 200〜500万円 |
| 既存相談サービスの改善・機能追加 | 50万円〜 |
| 1対1チャット相談機能(一式)の開発 | 100〜150万円 |
| AI活用機能(一式)の開発 | 50〜100万円 |
| データ集計機能(一式)の開発 | 100万円程度 |
| 運用サポート(仕組みづくり・運営課題) | 10万円〜(プロジェクト単位) |
| サイト保守・運用保守 | 月額5万円〜 |
上記はつくりばでの料金目安であり、一般的な市場相場ではありません。(一般的な市場相場だと、もう少し費用が高くなります。)料金目安に幅が生まれてしまうのは、既存システムの状態、必要な機能、外部サービスとの連携、安全要件などによって費用が変わるためです。複数の機能を組み合わせる場合も、単純な足し算になるとは限りません。
つくりばの例でいうと、一式には下記内容が含まれます。
- 1対1チャット相談機能(一式)
1対1チャット機能、会員登録と権限管理、相談担当者管理、相談期限と完了の管理など。 - AI活用機能(一式)
深刻度の判定、相談者の心理状態の分析、不適切投稿の判定、回答品質の評価、問い合わせチャットボットなど。 - データ集計機能(一式)
KPIの集計設計、データ取得のための機能追加、集計画面、CSV出力、レポート通知など。
※料金は2026年6月時点の目安で、税別です。サーバー契約費や、外部サービス・AIのAPIの利用料などの実費は、別途必要になる場合があります。要件定義・テストなどは基本的に各料金に含まれます。
なぜこのような幅になるのか、何が含まれ、どこを削れるのかを順にご説明します。
費用は「初期費用・運用システム費・運営費」の3つに分ける
相談サービスの費用は、次の3つに分けると助成金や年度予算にも乗せやすくなります。
①初期費用(作るときに一度かかる)
課題整理・要件定義、画面や導線の設計、デザイン、システム開発、管理画面の構築、動作確認とセキュリティ確認、既存データの移行、マニュアル作成、相談員・運営者への導入説明——といった、立ち上げまでにかかる費用です。
②システム維持費(動かし続けるのに毎月・毎年かかる)
サーバーやデータベースの維持、バックアップ、監視、保守やアップデート、メール・SMS・プッシュ通知、AIを使う場合のAPI利用料、そのほか連携する外部サービスの利用料、障害・セキュリティ対応——といった、システムを動かし続けるための費用です。
③運営費(人と運営にかかる)
相談員や職員の人件費、相談員の募集・審査・研修、相談員のケア、マニュアルの更新、深刻な相談への対応体制、データ集計や改善の打ち合わせ、利用者への広報——といった、サービスを運営し続けるための費用です。
システムを作る初期費用だけを見て予算を組むと、公開後の運用システム費や運営費が確保できず、苦しくなることがあります。この3つをセットで見積もることをおすすめします。
費用を決める5つの要素
見積もりを大きく左右するのは、主に次の5つです。ここを自分たちで整理できると、開発会社に相談するときの精度が一気に上がります。
①新規開発か、既存サービスの改修か
新しいサイトとして相談サービスを立ち上げるのか、既存のサイトに相談サービスだけを追加するのか、古いシステムを改修するのかで、必要な調査・設計・既存仕様との調整・データ移行が大きく変わります。
②必要な機能と権限
相談サービス全体でどのような機能が必要なのか。相談者は何ができれば良いのか。相談員にはどのような操作の権限まで与えるのか。運営者はどのような情報を管理できないといけないのか。このように、機能単体だけでなく、相談者・相談員・運営者それぞれの具体的な運用希望によって費用は変わります。
③外部サービス・既存データとの連携
LINE、メール・SMS、Zoomなどのビデオ通話、AIのAPI、既存の会員データやCRM——こうした外部サービスとの連携は、増えるほど費用に影響します。既存の相談履歴や相談員情報を新システムへ移すデータ移行も、整理・変換・確認の手間がかかるため、増えるほど費用に影響します。
④セキュリティやアクセシビリティの要件
誰がどこまで相談内容を見られるかの権限設計、要配慮個人情報の扱い、行政案件で求められるセキュリティやアクセシビリティ。これらの要件は、はじめから定義しておくことが大切です。後から変更する場合、権限・データ構造・運用フローまで広い範囲の改修が必要になりやすい部分です。
⑤公開後の保守・運営サポートをどこまで頼むか
公開して終わりではありません。サイトの保守や運営を完全に自分たちで担うのか、一部を依頼するのかで、月々の費用が変わります。
安く始めてよい部分と、削ってはいけない部分
本格的なシステムを作る前に、問い合わせフォーム、メールやLINE、表計算ツールなどを組み合わせて、小さく相談受付を試す方法もあります。相談の需要や実際の運用を確かめる段階では、有効な選択肢です。
ただし、既存ツールの利用料が安くても、利用規約の整備、相談員の管理やケア、手作業でのデータ統合、個人情報やセキュリティへの対応は別に必要です。ツールが安いことと、サービス全体を安全に運営する総費用が安いことは同じではありません。
本格的なシステムを作る段階になった際も、小さくスタートさせることが大切です。「何を削り、何を残すか」です。私たちが相談サービスを10年以上運営してきて分かったことは以下です。
削ってはいけない部分
- 会員情報や相談情報の取り扱いに関する説明と同意
- 誰がどこまで相談内容を閲覧できるかという権限設計
- 相談担当管理
- 相談者を放置しない仕組み
- 相談員がヘルプを求められる仕組み
- 深刻な相談の検知や対応フロー
- 通報や通報時の対応フロー
- 管理者用の画面
- 全データのバックアップの仕組み
後回しにして良い部分
- コアサービス以外のサービス
- オペレーションが確定していないうちの自動化
- 複雑なルールベースの相談担当マッチング
- 高度なAI機能
- 細かいニーズごとのオプション(例:文字数カウント、送信前プレビュー、など)
小さく始めるなら、削るのは「機能の華やかさ」のほうです。安全に関わる土台を削ると、あとで作り直すのに広い範囲の改修が必要になり、かえって高くつくことがあります。安全を落とさずに費用を調整する——この見極めが、相談サービスでは大切です。
見落としがちな「運用・改善」のコスト
最後に、いちばんお伝えしたいことがあります。長く運営する場合は、初期の開発費だけでなく、その後の運用・改善費が予算の大きな割合を占めることがあります。相談サービスは、公開してからが本番だからです。
だからこそ、見積もりを取るときは、作るときの費用(初期費用)と、続けるための費用(運用システム費・運営費)の両方をあわせて考えることが大切です。
ココトモは今でこそ多くの機能がついていますが、最初から全部があったわけではありません。相談者へのアフターフォローの仕組み、相談の延長の仕組み、AIを活用した相談員のサポートなど、10年以上の運営を続ける過程の中で「これは必要だ」と分かって少しずつ足してきたものです。初期に作るものと、運用しながら育てるもの。費用は、この両方をセットで見積もることをおすすめします。
見積もりを依頼する前に、整理しておきたいこと
具体的な金額は、「何を作るか」が定まってはじめて出せます。次の項目を整理してから相談すると、見積もりの精度がぐっと上がります。
新規開発か、既存サイトの改修か
誰が相談し、誰が対応するか(相談者・相談員・運営者)
相談はリアルタイム型か、LINEやメールのようにお互いのタイミング型か
想定する相談件数・相談員数
必要な機能と、それぞれの権限
外部サービス(LINE・メール・ビデオ通話・各種CRM)などとの連携の有無
既存データ(相談履歴・相談員情報)の移行有無
セキュリティやアクセシビリティの要件
公開後の保守・運営支援を、どこまで頼むか
予算の上限と、希望する公開時期
まとめ:費用は「何を・どう続けるか」で決まる
概算費用を把握することは大切です。ただし、金額だけを先に固定すると、本当に必要な機能を削ったり、反対に使わない機能まで作ったりしてしまうことがあります。
相談サービスの費用は、必要な機能、権限、安全要件などで大きく変わり、進め方しだいで小さくも大きくもなります。そして、初期の開発費だけでなく、運用と改善を続けるためのコストまで含めて考えることが大切です。だからこそ、いきなり大きく作らず、必要な機能から小さく始めて、運用しながら育てていくのが、結果としていちばん無駄のない進め方だと私たちは考えています。
最後になりますが、私たちつくりばは、これから相談サービスを立ち上げる方が納得して予算を組めるように、自分たちの料金目安を正直にお見せしています。相談サービスを10年以上運営してきた経験をもとに、やりたいことの整理と優先順位づけからお手伝いしているので、ぜひ気軽にご相談いただけますと幸いです。
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